飲み屋のカウンターで歌謡曲を聞いた。
祝日の前の三軒茶屋は、給料日の後ともあって、いつになく活気に満ちていた。
けれどもその店は喧騒とは無縁、わたしが訪れた時にはカウンターで
スマフォを操作しながらチューハイのジョッキを傾ける若者が一人いたきりだ。
ここはアジの南蛮漬けが絶品で、時折立ち寄っている。
今晩も女将さんに浦霞をコップに注いでもらい、ご主人の知り合いの猟師が獲ってきた
蝦夷鹿の肉をゆっくりとつまんでいた。
いつもはテレビをつけている所為か、久しぶりに点けた有線放送はボリュームが
少々上がり過ぎている。
ハカセタロウの弾くバイオリンに続いて、どこかで聞いた旋律が耳に流れこんできた。
「100年つづきますように」という言葉でおわるヤツだ。
なんという題の曲なのか、だれが歌っているのか知らない。
そもそも何が100年つづくのか分からない。
"・・・かつて中国大陸に100年続いた王朝がいくつ存在したことだろうか。
共産党支配下の中国が現在の体制を今後維持してゆけるのか、
その為には数多のリスク、特に今後十年でインフレそして水資源の確保に
国を挙げて取り組まなければならない。"
・・・ということではなかったと思う。l
べつに何が100年でもよい。それは言葉だ。
私がこの曲を最初に聞いたのは、広島県竹原氏にある昔ながらのカラオケスナックだ。そこで、店の女性が歌ってくれた曲だった。強く印象に残っている。上手だったのかどうか今となっては定かではないが、もっと聴きたい、ずっと聴いていたいと思わせる力のある歌だった。
今回はオリジナルと思しき音源を聴いたのだが、あまり流暢ではないという印象を受けた。けれども不思議な説得力があると思った。もちろん説得力といってもストーリーのことではない。そんなものをわざわざ組み立ててどうする。自意識の牢をぐるぐると回っているだけだ。何が100年続くんだっていいんだ。比較的最近の曲なのかもしれないし、案外に古い曲なのかもしれない。そういうことを何も知らなくて幸運だった。
最高のシンフォニーホールで最高のオーケストラを聴くのは素晴らしい体験に違いはない。一方で個人が切実な想いをもって音楽と出会うのは、いかにも何気ない状況なのである。その瞬間を逃すことなく、心に留め、そして忘れる。
夢が覚めれば、また中共の存続に思いを馳せる日常が始まる。
「ハナミズキ」一青窈さんの唄ですね。
返信削除私もお気に入りの唄の一つです。
道端のハナミズキは、今はもうほとんどの葉を落とし、いくつかの赤い小さな実が点々と枝先を彩っています。
冬のハナミズキの姿に気が付いたのは今年の春でした。
春の花、秋の紅葉、冬にはその赤い実で目を楽しませてくれるワシントンD.C.のソメイヨシノの返礼に日本へとやって来た不思議な外来樹です。
素敵ですね。
返信削除今日は天気もいいですし、午後から散歩でもしながら
近所をさがしてみようと思います。
どうもありがとう。